■京都検定にチャレンジしてみた  

第13回京都・観光文化検定試験が12/11(日)に行われ,初めて受験した。これまで何度となく京都を訪れ,風光明媚な寺社仏閣は殆ど行き尽くし,京都についての桜と紅葉の名所は殆どを撮り尽くしたと言っても過言ではない(季節のコーナーで随時ご紹介)。また,京都については,ここ数年,大学の京都学の講義も聴講生として受講し,ある程度の自信はあったので受験することにした。我々の同窓の仲間も京都在住の人が結構おられるので,既に合格証をお持ちの方もおられるかも知れないが,私は存じ上げていない。そこで,簡単に京都検定についてご紹介する。

  京都・観光文化検定とは

今年で13回目だそうだが,これまであまり関心が無く,詳しい内容も知らなかったが,京都をより知る意味でも受験してみようと思ったのは,半年ほど前である。何気なく,京都駅の本屋で見ていると,京都検定に関する本が並んでいて,立ち読み程度にザッと目を通すと,京都のことが詳しく説明してあるガイドブックだった。

これまで,桜や紅葉の名所の雑誌や,京都の寺社仏閣の説明書など,何冊かは購入し拝読したが,行く前に事前調査的に見る程度でしかなかった。大阪に住んでいるが京阪電車一本で,30分余りで京都市内に入れるところなので,毎月のように散策に出掛けたり,大学の講義のあるときは,毎週京都まで足を伸ばしているので,普通一般の京都人よりも,京都に関しての知識はあるつもりで居た。

ガイドブックによれば,京都検定は,京都の歴史,文化,神社,寺院,美術・工芸,祭りや行事,暮らしなど,幅広い分野に亘って京都の関する知識を試すもので,1級・2級・3級と知識レベルに応じたテストが行われているとのことである。

出題形式 程度・内容 合格判定
3級 四者択一 100問 基本的な知識レベル

公式テキストから90%出題

70%以上
2級 四者択一 100問 やや高度な知識レベル

公式テキストから70%出題

70%以上
1級 記述式 語句穴埋め問題60問

小論文5問

高度な知識レベル

京都の魅力を発信でき,次の世代に語り継げる

公式テキストに準拠

80%以上

この内容から,何もせずにも3級は先ず合格できるのではないかと,過去の問題集を見てみると,比較的,京都に関する常識的な問題が多く,合格できることの確信が持てた。しかし,公式のテキスト(ガイドブック)を購入し,いざ読み出してみると,なかなか自分の知識が中途半端なものであることを再認識し,半年掛けてじっくり学んでみようと云う気にさせられた。

公式テキストブックは400ページに及ぶもので,神社・寺院だけでも,120ページもあり,いろいろなところへ参拝したとはいえ,初めて聞く寺社仏閣も多く,とくに神社の祭神や寺院の本尊についての知識は皆無に近かった。写真を撮って廻っているので,庭園や建物に関する知識は少しはあったが,それもうろ覚えの域を脱しない知識でしかないことを思い知らされた。

それと勉強してみて,この歳になると記憶力の低下が気になった。公式テキストで読んで記憶したつもりでも,すぐ忘れてしまっているのである。脳の海馬の記憶領域が少なく,弱くなってしまっているのであろう。まず,神社の祭神は複雑であり,名前も読みづらいものばかりであり,これを覚えるのはムリだと判断し,覚えることを諦めた。また寺院の本尊も,如来,菩薩,明王,観音,と分かれ,それらに釈迦如来,阿弥陀如来,大日如来などあると何が何だか判らなく,混乱してしまう。寺院は更に,山号があり,これも一筋縄では覚えられない。著名なものだけに限定して,あとは気にしないことにした。

建築・庭園・美術に関しては,見聞きしたものもあり,比較的理解しやすかったが,絵師と仏師の時代と,作品を一致させるのは,なかなか手強いものがあり,大凡の感覚で記憶するのがやっとで,人物と作品とそれを所蔵する寺院と一致させることが困難を極めた。これも,代表的なものに止め,後はザッと目を通して,受験時の四者択一において絞り込みができれば良いと判断した。

伝統工芸・伝統文化も,これまでの知識を少し拡げる程度で,しっかり暗記するまでには到らなかった。祭りや行事も,京都では多く,毎月何かの行事や催しが行われており,葵祭,祇園祭,時代祭に代表される三大祭りも,各々の儀式があって,馴染みのあるもので無いため,なかなか頭に入ろうとしなかった。頭の記憶容量の限界なのかと,これも諦めるしかなかった。

幸いにも,生まれが滋賀で,京都に馴染みがあり,その後も大阪でずっと生活しているので,生活に関する,京料理,京野菜,京言葉,ならわしなどは,普段も使っていたり,子供の頃から自然と親しんでいたものも多く,比較的理解度は進んだ。特に,京言葉は子供の頃からのなじみが多く,それほど違和感がなかった。

  受験を前に

と云うわけで,十分な勉強はできなかったが,2級をチャレンジすることと決めたが,滑り止めでは無いが3級も併願できるとあって,一緒に受けることに決め,インターネットを通じて応募したのは,10月の終わりである。テキストブックだけの暗記では追いつかなく,記憶が不十分で,丁度手頃な京都検定の問題をインターネットで公開しているサイトを見つけ,それで繰り返し繰り返し,記憶を上げる方法で精度を高めて行った。

合格者は年度によってバラツクが,級が上がる毎に合格率は下がっている

1級 2級 3級
第12回 1.8% 27.9% 50.4%
第11回 4.0% 25.9% 49.2%

前回の各級の受験者数は,1級 848人,2級 2269人,3級 3899人。試験会場は,京都だけでなく,東京にも設けられており,関東でも約1200人が受験されており,全国各地から受験者がおられるようである。

また,年齢別でも,若い世代ほど合格率が低く,60代が一番合格率が高い。職業も,主婦・無職が一番合格率が高い。このことは,やはり学生などでは見聞もまだまだで,ある程度経験を積んだゆとりある世代が一番知識があることを示していると云える。当然と云えばそれまでだが,60代の合格率に対し,20代の合格率は半分以下(受験者数は,2倍以上)である。つまり学生など試験をチャレンジする気分で受験しているが,60代はそこそこ知識があり,自信のある人が受けているのであろう。

  受験しての結果

試験会場は,同志社大学の新町キャンパスであり,午前中が3級,午後からが2級のテストで,いずれも制限時間は90分間である。3級は学生と思われる人が多かったが,年配者もそこそこ見掛けた。2級になると,学生らしき人はぐっと減り,一般人,女性がかなりの割合で,私などは,最年長に近い感じを受けた。

午前中の3級の試験は,予測通り比較的簡単な問題が多く,30分以上で退出可能とされており,40分ほどで退出した。しかし,午後の2級はそう易々とは行かず,手こずった問題もあり確認作業もあって,70分ほど掛かり,既に2,3割の人が退出している状況だった。

試験結果の発表は1月末まで待たねばならないが,テキストブックやインターネットで問題と照らし合わせて分析してみた。

  完全理解 理解不十分だが正解 不正解
2級 47 31 22
3級 76 14 10

この自己分析では,2級 78%,3級 90%で合格である。まずまず,一安心。

2,3級は共に四者択一なので,正解を答えるのではなく,探せば良いので,消去法や何となくうろ覚えでも回答を導き出す方法があった。もちろん,中には全く判らないものもあり,山勘で当てるしかない問題もあったが,1/4の確率なので,当たったものもあった。また,不正解したものの中にも,もう少し問題をじっくり見て,推測すれば正解を導き出せたのに,と後から思うものもあった。

皆さんの中に試しにやってみたい,と思われる方がいらっしゃれば,今回の試験問題を次に示すので,チャレンジしていただきたい。

●3級の問題から(10問抜粋)

●2級の問題から(10問抜粋)

 

 

[Reported by H.Nishimura 2016.12.18]


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