■講演 「高度情報社会への道」 川島幸之助(旧3年4組)

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宮川(金亀一三会会長)さんから川島君についての紹介があった

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東13回卒の同級生の記念写真

  【講演内容】 配布されたレジメ    約1時間40分

金亀会総会 講演 2021. 5.23
「高度情報社会への道」
                                     川島幸之助 (彦根東高校 第13 回卒業)
1. 通信の歴史
弥生時代: のろし(狼煙)、戦国時代: 太鼓、江戸時代: 飛脚
1800 年: ボルタ電池の発明(イタリア)
1837 年: モールス信号の発明(アメリカのモールス)
1876 年: 電話の発明(アメリカのベル)
1895 年: 無線通信装置の発明(イタリアのマルコーニ)

2. 旗振り通信: 大阪堂島米市場の情報伝達
櫓から、見晴らしの良い山を中継点として各地の取引所に伝達
旗振り通信の所要時間
京都まで 4 分、大津まで 5 分、・・・
江戸まで 8 時間程度
箱根を超える際に飛脚を利用、旗振り通信区間は 1 時間40 分前後
江戸時代半ば(18 世紀)より大正時代の初めまで存続
現在、株式の高頻度取引(HFT: High-Frequency Trading)が活発、 日本: 全取引の半分程度
旗振り通信 (Hata-Furi Tsuushin: HFT)
勝率100%の 「じゃんけんロボット」 のようなもの

3. 志田林三郎: 通信の未来を予見
1888 年(明治21 年) 6 月25 日: 電気學會第一回通常会で「未来を予見する」演説
高速多重通信、長距離無線、海外放送受信、光利用通信、
電気自動記録(録音・録画)、長距離電力輸送、電気鉄道・電気船舶・電気飛行船、
地電流や空間電界変動による地震予知や作物収穫予想
(通信の未来に関する予見は、現在、すべて実現)
1856 年(安政2年): 佐賀県多久市に生まれる 、 1892 年(明治25 年): 36 歳で逝去
1873 年(明治6年): 工部省工学寮に入学
1879 年(明治12 年): 工部大学校を首席で卒業、卒論は英文 210 ページ
1880 年(明治13 年): グラスゴー大学(英国 スコットランド)に留学、
ケルビン卿の下で物理学、数学などを学び数々の研究。きわめて優秀な成績。
1883 年(明治16 年): 帰国。工部大学校電気工学科の初代日本人教授
1888 年(明治21 年): 工学博士(日本で最初)

4. 通信網の進化
通信網への進化過程: 交換機、階層 → 電話網
2 種類の交換方式: 回線交換 パケット交換
インターネット、移動体通信網

5. 歴史: コンピュータ、インターネット、携帯電話、各種サービスシステム
5.1 コンピュータ
1946 年: コンピュータの発明 ENIAC, 米国 ペンシルバニア大学。弾道計算用
1964 年 4 月 7 日に発表、 大型コンピュータ IBM System/360
1979 年 5 月 9 日に発表、 NEC PC-8000 シリーズPC-8001 (パーソナルコンピュータ)
1981 年 IBM PC (Personal Computer)
1984 年1 月24 日 : 初代Macintosh、Apple
1995 年: パソコン用OS Windows 95、 Microsoft
5,2 インターネット
1969 年: ARPANET の実験開始、インターネットの原型
1987 年: 商用インターネット開始 (米国で)
1989 年: http(Hyper Text Transfer Protocol)、WW(World Wide Web)
1990 年 (平成2 年): 新高度情報通信サービス VI&P 構想発表 (NTT)
5.3 携帯電話
1970 年: 万国博覧会に「夢の電話」登場
1979 年12 月2 日: 自動車電話サービス開始
1987 年: 初めてのケータイ登場
1999 年2 月22 日: i モード開始、ケイタイでインターネットアクセス、NTT ドコモ
2007 年1 月 9 日: 第1 世代 iPhone の発表、Apple、2007 年6 月29 日に米国で発売
5.4 各種サービスシステム
1990 年代に誕生: 電子商取引 (Electronic Commerce), ネットショッピング: amazon.com, Rakuten な
ど。 検索エンジン: Google, Yahoo など
2000 年代に誕生: ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS: Social Networking Service)
mixi, Facebook, YouTube, Twitter, Instagram, LINE など
負の側面: フィルタバブル、エコーチェンバー現象など

6. 技術発展と普及推移: 要素技術の飛躍的発展
・半導体: メモリの大容量化、低廉化、CPU の高速化
Moore's Law (ムーアの法則): Gordon Moore が1965 年に発表
「半導体製品に集積されるトランジスタ数は、年(あるいは1.5 年)率 2 倍で増加」
・固定回線: 光ファイバ: 大容量化、高速化
・無線回線: 周波数の開拓、アンテナ技術
・ソフトウェア、アルゴリズム、AI 技術

7. これから
サイバー空間と現実世界の連携 (Cyber Physical Society) IoT、ビッグデータ、AI
ICT: Information and Communication Technology により
IxCxT: Inclusive x Connected x Transform 世界の実現

  ★使用されたスライドは約80枚ほど。ここからスライド(PDF)が見られます。

「皆さんには,もっと出典のhttpを追加しようと思っていたのですが,資料名から検索ください」
と川島君のコメントがありました。

  【講演内容の感想】 西村

1.通信の歴史
はじめに通信の歴史から紹介があり、続いて旗振り通信の時代の解説があり、
電子工学を学んだ私ですが、通信とはそれほど縁が無く、会社では電子部品の
開発をやっていたので、今回紹介があった、志田林三郎と云う未来予測を
100年以上前にやられた偉人は初めて知った次第です。
1888年に記念講演で電気電信の未来予測を発表されています。
将来予測の具体的な内容では、無線電話、ラジオ ・テレビ、長距離送電
電車の普及・蒸気機関車の衰退、テープレコーダー、電磁波測定による
地震予知、作物の収穫予想・・・・などに相当するものです。
電灯が灯ったばかりの明治時代に現在では殆どが実現されていることを
既に予測されており、その博識と頭脳の明晰さには驚愕させられました。
今回ご紹介があった記念講演の内容は、宮島さんという方が口語訳で詳しく
説明されていますので、一読の価値があります。
「去華就実」と郷土の先駆者たち 第28回 志田林三郎(下)
URL:https://www.miyajima-soy.co.jp/archives/column/kyoka28 
前半の時間を通信の歴史に時間を割かれ、改めて通信の歴史を詳しく知る
ことができた。

2.コンピュータ、インタネット、携帯電話の歴史
 これらについては、多少なりとも学生時代や社会人になってからも身近に
 なったもので、いろいろな想い出が浮かんできた。

@コンピュータ
・私たちが生まれた年1946年にENIACと云う真空管を17000本強使ったのが
 最初のコンピュータで、名前だけは聞いたことがある。
・IBMが作った大型コンピュータ360は大学で、コンピュータを学んだ時に
 使われていたものである。
・説明は無かったが、パソコンになる前のコンピュータキットTK-80という
 キーボードと8桁の7セグメントのLEDがボードに搭載されたものがNECから
 発売され、 技術部で購入し、仲間とコンピュータの勉強をしたものである。
・やがて、シャープやNECからパーソナルコンピュータとして、ブラウン管の
 モニターとフロッピーディスクが搭載された本体とが売り出され、会社でも
 だんだん使うようになってきた。
・IBMは大型コンピュータで独走的な地位を獲得していたので、パーソナル
 コンピュータには目もくれなかったが1981年になってようやくパーソナル
 コンピュータの重要性を認識し、発売をするようになった。
・この当時は、現在のような視覚認識できるコンピュータではなく、MS-DOSと云う
 キャラクターが羅列された、コンピュータ言語のOSが扱われていた。
・1984年になってAppleからMacintoshと云う視覚認識で扱えるMS-DOSではない
 コンピュータが発表され、図形などが容易に扱え一世を風靡した。
・これに対抗したのが、現在のWindowsで、MS-DOSのOSから、視覚認識ができる
 現在のパソコンになり主流になっていったのである。
・私が自宅でパソコンを購入したのはPC-9801Fと云うMS-DOSのOSだったもので、
 1985年頃、当時パソコンは30万円強、カラープリンタも25万円、それにモニター
 と合計70万円ほどの高額で、なけなしのお金をつぎ込んで買った記憶がある。
 カラープリンターはインクリボンのドット方式のものであった。
・やがて1990年代になるとノートパソコンが出始め、これも早い段階で手に入れ、
 会社に持ち込んで会議の議事録など、会議中に打ちこみ、ノートを持たない
 生活が始まった。今のようにディスクトップパソコンは部内に数台で共用
 だったので、私物の持ち込みは認められていた。
・このようなMS-DOSからWindowsへの変遷過程があったパソコンの歴史を身を
 もって体験したものである。

Aインターネット
・私がインターネットを知ったのは1990年代半ばで、軍用から商用へ使われ
 httpやwwwが一般化され、世界中の情報が手元でネットに繋げれば見られる
 ことを知って、便利になったことを改めて、認識したものだった。
・私自身は仕事で1980年にアメリカのGE社との取引があって、パスポートを
 初めて取得し、 伊丹空港から職場の仲間に送られて出張したが、このときは、
 インタネットでは無くまだやりとりはTelexの時代だった。変動相場制が
 始まって少し経った時期で確か1$=250円程度だったと記憶している。
・電子部品の仕事だったが、制御ボードを扱っており、4bitや8bitのマイクロ
 コンピュータを搭載させていたので、コンピュータとの関わりは多少あった。
・インターネットの出始めは商用に使える触れ込みだったが、当時は、遊び半分で、
 インタネットに繋いで、NASAの地球の映像などを見て楽しんだ程度だった。
 当時は、現在のような商用に活用されるものとは思ってもいなかった。
・インターネットに刺激されたのか、情報分野の部門はイントラネット(社内の
 ネットワーク)を構築し、ホームページなどを作り出したのは、90年代半ば
 以降である。
・仕事とは直接関係は無かったが、パソコンが自宅にあったので、電話回線から
 インターネト接続ができるようにして、メール中心であったが、自宅での
 活用を始めた。
・ADSLなど回線のスピードも上がり、遊びのインターネットが、いつしか
 本格的な商用ベースで使われるようになって行った。
・1990年後半には、情報部門のホームページを見習って、自分たちの技術部門の
 ホームページを立ち上げようと企て、技術者向けの情報を一元化するような
 ものに作り上げて行った。
・この経験があったので、金亀一三会の離れた仲間とのやりとりをできるように
 と2001年には、同窓のホームページを立ち上げ、現在20年間継続できている。
・きっかけは、澤田君(故人)との何気ない会話で、年に数回仲間が集う機会を
 持っていたが、そうした機会だけでなく、いつでもどこでも誰でもできるものを
 との話が弾んで、私がホームページを作り上げたのである。

B携帯電話
・現在は私自身スマホを利用しているが、携帯電話の利用は普通の人より、ずっと
 遅く、家族での必要に駆られて携帯電話を持つようになった。
 パソコンの機能で十分で、四六時中、何処までも追いかけられるのがイヤと
 云うのが持たない口実であった。
・私自身は携帯電話の電子部品を開発した経験は無い。自動車の制御部品を中心
 とした製品開発に携わっていたが、隣の部署でsawフィルタなど携帯電話の
 部品開発をやっていたので、携帯の進み具合は知っていた。
・今回紹介あった大阪万博での「夢の電話」は、10数回万博へ通ったがお目に
 かかることは無かった。
・自動車電話から、ショルダー型の電話など時代の流れの製品は知っているが、
 使われている電子部品が年々小型化の一途を辿るのを肌身で感じながら、携帯
 電話の小型化のスピードも速く自然の流れであった。
・携帯電話でインターネットのアクセスが2000年には可能になっていたが、
 我々が普段自然にスマホでインターネットを見るようになったのは4G以降で
 ここ数年である。今では、パソコンを使わずスマホが主流と云う人が多く
 なってきている。

ここまでの歴史は私の歩みと連動するもので、昔のことを思い出させてくれる
絶好の機会となった。

C負の側面
・一番気になったのは、各種便利なサービスが行きわたってきた半面、負の側面
 の話題に興味を引かれた。
【フィルターバブル】
 フィルターバブル (filter bubble) とは、「インターネットの検索サイトが
 提供するアルゴリズムが、各ユーザーが見たくないような情報を遮断する機能」
 (フィルター)のせいで、まるで「泡」(バブル)の中に包まれたように、
 自分が見たい情報しか見えなくなること。
【エコーチェンバー現象】
 エコーチェンバー現象(エコーチェンバーげんしょう、Echo chamber)とは、
 閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことによって、特定の信念が
 増幅または強化されてしまう状況の比喩である。
・これらの言葉自体は初めて知った言葉だが、内容的には普段インターネットに
 どっぷり漬かっている者にとっては、十分に頷けることである。
・特に気になるのは、自分が知らず知らずのうちにその中へ引き込まれてしまって
 いることで、異常だと気付かないことである。
・これらは利用上では非常に便利な側面であり、上手く利用すると素早く自分の
 目的を達成する手助けになるため、自然な流れでそうなっていることである。
・便利なものには必ず、このような負の一面があることを忘れてはならない。

 
いろいろ自分中心の感想を長々と述べてきたが、川島君のあくなき探求の深さ、
熱心さには改めて敬服させられた。

貴重な講演をありがとうございました。